ファンドレイザーやNPOの事務局長が一度は聞いたことのある、ドナージャーニー(カスタマージャーニー)という言葉や考え方を知っていても、実際にどうやってNPOの実務で落とし込めばいいか分からない方は多いはず。
そこで、あなたがドナージャーニーを実践するための1つの型が理解でき、効率的に寄付収入や自主事業収入をあげていただくために必要な情報をまとめてみました。
加えて、kintoneを活用することで、どのようにドナージャーニーが実践できるのか?という観点もご紹介させていただきますので、最後まで記事をご参考いただければ嬉しいです。
ドナージャーニーとは?寄付者がNPOの活動を知って寄付に至るまでの一連プロセスを描いたもの
ドナージャーニーは、NPOの事を全く知らなかった人が、NPOの活動を初めて知って、そこから活動に興味を持って、寄付するに至るまでの一連のプロセスを体系的にまとめたフレームワーク(1つの基準となる考え方)の1種です。
寄付に限らず、すべてのサービス、商材に当てはまるもので、寄付者の寄付意欲の度合いを、認知>興味>検討>購入>リピート等という形で段階的に分けて、各段階ごとに必要な施策を実行していくという考えです。
よく、ドナーピラミッドとどう違うの?と混乱されると思いますが、ほぼ同義です。
ドナージャーニーは、1人の人がNPOの活動を知って(認知)、サイトTOPのデザインに興味を持って(興味)、寄付募集ページを読み込み寄付種類を知って(検討)、寄付する(購入)という具合に、1人の人に焦点を当てて、どうすれば知ってもらえる人の量を増やせるのか?知ってもらってからスムーズに寄付に至るまでにどうサイトの導線を考えればよいか?という形で施策を実践していく手法です。
対して、ドナーピラミッドは、サイトに訪れた人、フェイスブックページにいいねを押している人、という形で一属性を分類分けして、その属性に対してどんなアプローチができるのか?という手法になるので、強いて言えば、1人の人に焦点があたっているわけでないということが異なっているかもしれません。
ドナージャーニー、カスタマージャーニーを考える上で最も大切な事
ドナージャーニー等を考える上で、最も大切なのは、認知〜購入(寄付)まで、間をあけずに購入まで至る場合と、認知から1年スパンで寄付(購入)に至る場合の2パターンがあると認識する事です。
認知〜購入まで間が開かない場合とは、例えば、メディア掲載されてからインターネットで検索してすぐ寄付される、という場合であり、認知〜購入まで間が開く場合とは、NPOが主宰する何かのイベントに参加してメールマガジンが送られるようになって、1年後にクラウドファンディングが開始されるをメルマガで知って、クラファンを支援する場合などが挙げられます。
本来、前者の方がNPOとしてありがたいのですが、前者は、どんな事業をやっているのか?に依る部分が大きいので、NPO側でコントロールがしにくいため、後者をいかに再現性高く実現できる体制を構築できるのか?という観点で、ドナージャーニーを活用するのがよいでしょう。
NPOがドナージャーニーを実践するためのテンプレ紹介|メルマガ、kintoneを活用する
ドナージャーニーを実践するには、様々な工程で活用できるメルマガ、kintoneを活用することを軸にして、テンプレを作成するのがおすすめです。
以下、テンプレの全体像や活用ポイントみていきましょう。
ドナージャーニーテンプレの全体像
メディア掲載、検索、SNSのシェア等(認知)、メルマガやライン登録(興味)、メルマガやラインの投稿で定期的に情報が配信される(検討)、寄付キャンペーンで寄付する(購入)、メルマガ等で活動の報告やお礼を行う(リピート)というのが、1つの型になります。
活用のポイント|率を高める仕組みをつくってから数を増やす仕組みをつくろう
NPOがドナージャーニーを活用して売上を上げるために大切なのは、率を高める仕組みをつくってから、絶対数を増やす仕組みをつくることです。
例えば、サイトに訪れる人のうち、少しでも多くの方が寄付募集ページを知ってもらえるように、全ページのフッターに寄付募集ボタンを設置する、こういった施策は、率を高める(サイト訪問者のうち寄付募集募集ページに来る人割合が増えるためにできる事)施策になり、率を高める施策を優先的に高める事は、ドナージャーニーを実践する上で重要な考え方になります。
絶対数を増やす施策とは、例えば、プレスリリースを作成してメディア掲載される事で、NPOの活動を初めて知ってくれる人の数を増やす等になりますが、もし、サイトの導線設計が正しく機能していない状態で、サイトに訪れる人が増えたとしても、最終的に寄付をするアクションまで至る人が少なくなるリスクが高まってしまいます。
ですので、率を高めてから、数を増やすというアプローチの順番は、ぜひ抑えておいてください。
kintoneが活かせるシーン|ファン度を上げるためには有効
ドナージャーニーを実践する上で、kintoneは、リピート寄付等を期待できる体制構築などに活用できます。
寄付見込者や寄付者がどれくらいNPOに関わってくれているのか?が誰でも分かるようにするためには、kintoneが役立ち、例えば、kintoneを見れば寄付者のセミナー参加履歴や寄付決済履歴、メールのやりとりが全て1箇所にまとまっているという状態を実現することで、その履歴を見ながら寄付者とコミュニケーションを取ることができるようになります。
その結果、半年後に寄付キャンペーンを実施する際などに、あの時、ちゃんと自分のことを覚えておいてくれたからもう一度寄付をしよう、等と思ってもらえる可能性が出てきます。
いわゆるCRMを構築し、NPO活動に関わってくれる人のファン度を高めるためにkintoneは有効になるのですが、CRMについて知りたい方は、以下の動画をご参考ください。
ドナージャーニーで1つの型を一巡させて応用しよう
ドナージャーニーをファンドレイジングや自主事業を実施する初期段階で設計することで、限られたリソースでも売上の最大化を見込める手法になります。
初めて聞く人であっても、まずはやってみることに重きをおいて、ググったりしながらでもドナージャーニーの1つの型をつくってみて、実践しながらドナージャーニーをより発展させていくことを心がけてください。
どの段階で、どんなツールを軸にドナージャーニーを組み立てていったら良いのか分からなかったり、自団体で考えたドナージャーニーをブラッシュアップしたいと思われるNPO代表やファンドレイザーがいらっしゃれば、無料でアドバイスさせていただきますので、ぜひお気軽にお問合せください。
あなたのNPO活動全体が大きくなるために、私がお力になれることがあればとっても嬉しいです。
ありがとうございました!
それでは今日も、よい一日を。