NPOが会員募集を行う上で重要な考え方|継続寄付者との違いを明確に

NPOの財源を確保する目的で、賛助会員と継続寄付者の同時募集を行っている場合、2者の募集等にかかる労力は大変ではありませんか?

会員と継続寄付者は、実は、NPO運営者、お金の出し手双方にとって、あまり大きな違いがない中で、特に根拠なく、2者募集を行っているNPOは非常に多く見受けられます。

この記事では、2者を同時に募集等行う上での問題点を紹介することで、どのNPOでも活用できる生産性向上施策について、ご紹介させていただきます。

目次

賛助会員と継続寄付者の違いは実質ほとんどないと理解する(運営側もお金の出しても)

冒頭で記載の通り、賛助会員等に見られる会員と、継続寄付者は、あまり大きな違いがないのが実情です。

どこが同じでどこが違うのか?詳細について、以下でご紹介していきます。

決済頻度は異なる

賛助会員等と継続寄付者の最も大きな違いで挙げられるのは、決済の頻度です。

賛助会員等=毎年の寄付
継続寄付者=毎月の寄付

という形で、決済の頻度が異なり、継続寄付者の方が決済頻度が多いという特徴があります。

決済頻度が違うと、例えば、クレカ等で決済を行っている場合に、決済代行会社などから決済成功ごとに配信される自動返信メールの頻度なども異なることになるので、継続寄付者の方が、お金の出し手との接点が物理的に多くなるので、法人の活動の関心が途切れない運用がし易いということがあります。

一方で、賛助会員等は、年に1回の決済になるので、定期的に活動報告等を行う運用ができていないと、極端な場合、会員として賛同してもらったことも忘れられてしまう、そんなこともあるかもしれないので、いかに決済後に継続して、接点を持ち続けられるか?が大切になってきます。

認定NPO取得の絶対値基準の違いは実質ない

NPO法人で寄付を募っている団体の中では、認定NPO法人の法人格取得を目指してる団体もあるかと思いますが、認定NPO法人になるための絶対値基準(3,000円以上の寄付者が年平均100人いること)を満たすかどうかの観点では、継続寄付者も賛助会員も大きな違いはありません。

ただし、賛助会員の会費の支払いに対して対価がない場合に限って、賛助会員も絶対値基準にカウントできるという点はご注意ください(他、住所等が必要など諸条件を満たす必要あり)。
参考:https://blog.canpan.info/waki/archive/989

会員の中でも正会員だけは別物と考える


以上のように、実は会員制度と継続者制度は、共通部分が多くみられるのですが、正会員だけは、法人運営の重要事項を決定する際の議決権を有するという点で、継続寄付者と大きく異なることを覚えておいてください。

会員制度には、賛助会員、準会員、正会員、法人会員など、様々な会員の種別を設定し、制度が運用される場合がありますが、NPOでいう正会員は、株式会社でいう株主のような存在で、法人運営の重要事項に関しての議決権を有するという特徴があります。

正会員以外の会員種別については、議決権は関係ないため、正しくは正会員以外の会員と継続寄付者は、あまり大きな違いがないという事を抑えてください。

会員と継続寄付者を並行募集する際の注意点|コスト負担が増える

大きな違いがない会員と継続寄付者ですが、2者を並行して募集する上で、実はコスト負担が増えるという事があるので、その点を加味して、場合によっては、継続寄付者のみを大体的に募集する等、対策をする方がNPOの生産性を高めることができるという考えがあります。

どのようにコスト負担が増えるのか?についてご紹介します。

更新のお願い、領収書発行、会報誌を発送する等の事務負担が増える

会員と継続寄付者、2者ともにNPOにとっては重要な応援者であり、適切なコミュニケーションや事務対応が求められるのですが、2属性が別々に存在する場合、事務負担がほぼ2倍になってしまうということがあります。

更新のお願いをする

会員、継続者それぞれが永久的に自動で決済がされることはなく、クレカで決済などされる場合であっても、会員の場合は1周年ごとに更新のお願い連絡をすることが、NPO運営者にとって適切なコミュニケーションとして求められ、その分負担が発生することになります。

一方で、継続寄付者の場合は、毎月の決済という内容がほとんどなので、更新の度にコミュニケーションをとる必要はありません。

もちろん、1年に1回更新のお願いをできる方が、コミュニケーションのきっかけが生まれて会員との関係性が深まるという意味では、よいかもしれませんが、数が増えれば増える程、負担も比例したり、未更新による売上減少の可能性も含んだ形での運用となります。

ちなみに、クレカのエラー等が発生する場合には、会員であれ、継続寄付者であれ、エラー解消のお願いなどする必要がありますが、例えば、コングラントのサービスであれば、2023年にアップデートされ「継続契約」という会員と継続寄付者の契約状況を一元的に把握し、エラー者を一覧化する機能などが備わっているので、非常に効率的な運用を行うことができるようになっています。

詳細は、以下の動画をご参考ください。

領収書を発行する

会員、継続寄付者、双方とも領収書の発行が必要になりますが、2者に領収書を発行する場合、領収書のフローが別フローで行わないといけない場合もあり、その分、負担が増えてしまうことが考えられます。

アニュアルレポートなどの印刷物を発送する

1年間の活動報告を行ったり、リピート寄付を依頼することを目的に、アニュアルレポート等を寄付者等に送付しているNPOは多いかと思いますが、属性が別になる場合、送付対象者のリスト作成等も別々に作成する等が必要になるので、その分手間や送付漏れが発生する場合があります。

悩んだら辞めてしまうリスクを意識する

1つの寄付募集ページ等で、会員募集と継続寄付者募集を同時に記載し、2つどちらでも好きな方で協力して欲しいとよびかけを行うとします。

この場合は、2つの違いが分からずに会員申込や継続寄付申込を辞めてしまうことが、リスクとして考えられます。

人は悩んでしまうと選択するのを辞めてしまう、という特徴があるので、寄付募集ページを見て、最終的に申込して欲しい協力手段は、なるべくシンプルにしてあげる方がよい場合もあるでしょう。

データベースの活用は必須で会員や継続寄付者を整理することが肝要に

会員のみ募集する、継続寄付者のみを募集する、両者を募集する、安定的な財源を確保するためには、この3つの選択肢をどう運用に落とし込むのか?を決断する必要がありますが、いずれにしても、上記に記載したように、応募、募集して終わりではなく、お礼や感謝報告、領収書やアニュアルレポートの発行など、様々な業務がセットでついてくるのが、会員や継続寄付者募集時における注意点になります。

限られた人員で、いかに会員制度等を生産的に運用できるかは、データベースの導入や運用なしには、実現することができません。

できれば、継続寄付者だけを基本募集する方針を掲げつつ、データベースをうまく活用していく事で、自団体に適した体制の構築を心がけてください。

会員や継続寄付者の役割をどう実務に落とすべきか?どのようにデータベースを構築し運用すべきか?についての、詳細を知りたい方は、ぜひ奏ワークスのラインに登録の上、個別相談をしてもらえたら嬉しいです。

それでは今日もよい一日を。
ありがとうございました!

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この記事を書いた人

法人営業7年→子育て系NPO勤務6年のキャリア後、2019年4月に独立。WEBマーケやCRMを軸に、体系的に売上増大や業務軽減を実現できるコンサルティングを行う。働くテーマは虐待予防の仕組みづくり。プライベートでは3児の父であり、琵琶湖で釣りガイド&ゴムボート販売業を営む会社も経営。自身の経験を活かし、皆様に役立つ情報発信に努めます。

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